「一人から始めるユーザーエクスペリエンス」出版記念イベントレポート #ux_team_of_one
一人から始めるユーザーエクスペリエンス
本日、「一人から始めるユーザーエクスペリエンス」の出版記念イベントに参加してきました!本ブログはそのレポートになります。
「UX Team of Oneの時代」長谷川 敦士(株式会社コンセント)
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UX Team of Oneは、IAサミットの中で提唱されてきたアイデアです。こうした考え方が必要となった背景やこれからのUXのあり方について考えてみます。
1.IAサミット
IAサミットとは、情報デザインのカンファレンスのことです。北米で開催されているIAコミュニティの集まりで、2000年から毎年春に開催されています。長谷川さんは通算10回以上行っているそうです。
上流工程で役割を担っている人が集まるカンファレンスです。500人位の規模で開催しています。四六時中IAの話をするイベントです。
ナビゲーションやサイト構造の体系化、タグクラウド、カスタマージャーニー、コンテンツ戦略などを議論します。
通称シロクマ本の著者であるLouis、AdaptivePathのJJG、PeterMeなどといったIA業界のキーパーソンとなる人達が集っています。IAの生みの親とも言えるRSWもキーノートに来ることもありました。
キーノートでは次に何を着目すべきかが語られています。
イベントでは3つのセッションがパラレルに走ります。セッションAでは新しい分野と理論構築、Bトラックは実用的な手法やフレームワーク、Cトラックはという構成になっています。UX Team of OneはCトラックで話し合われた内容を元に作られています。
2.IAからUXDへ
IAの分野では、IAだけではなくUXも取り入れられて議論されるようになりました。それが契機となり、純粋なIAについての議論も再び活性化していきます。
3.JobからRoleへ
アメリカでは、UXデザイナーという職種の方が一般的です。IAという職種がUXデザイナーに変わったと言えます。CXが顧客体験の全て、UXがデジタル体験というような扱いになっており、デジタル領域限定のことに限定されてきています。UXストラテジストはUXデザイン領域を担当を請け負う職種として生まれつつあります。今までとは異なり、事業戦略の中にUXデザインが取り込まれるようになってきています。
まとめ
UXデザインがビジネスの基本能力に変わってきています。そのことについてはUX Team of Oneに書かれています。興味のある方はIAサミットに行ってみてはいかがでしょうか。
「一人から始めるユーザーエクスペリエンス概要紹介」深澤 大気(ヤフー株式会社)
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翻訳までの経緯と本書の概要を紹介します。
UXデザイナーであり、デザイン思考エバンジェリストの深澤さんの発表です。
翻訳することになった背景
深澤さん自信もUX Team of Oneだったらしいです。UXデザイン活動を実際にやってみると、組織の中で中々理解してもらえなかったり、参考とする本に書いてあることを具体的にどう実践するばよいか分からなかったりしていたそうです。その中で、良い本があればガッツリ翻訳したいと思うようになったようです。
そうしているうちにLouisとさんと繋がり、オススメの本を聞いたところいっぱい紹介してもらったそうです。その中にあったのがUX Team of Oneだったそうです。
本の紹介
著者はAdaptivePathに所属しているLeah Buleyさん。UXデザイン界では著名なかたです。
本の概要
ユーザー中心設計に取り組みたい人に向けて書かれた実践的なガイドブックです。2部構成になっており、1部がマインドセット、2部がUX実践です。
1部はマインドセットで、UXとはなにかといったような心得について書かれています。
2部はUX実践で、27のメソッドが紹介されています。色いろな方法がある中で、かなり厳選されたメソッドが書かれています。実際にデザインする流れに沿って書かれています。
この本の良い所
実践を元に書かれている
アメリカで活動されている300人以上のUXデザイナーの実践を元に書かれています。
実践を想定して書かれている
どのくらい時間がかかるか、使いドコロ、進め方など実践するときを想定して書かれているので、取り組みやすい内容になっています。また、実践するためのヒントも書かれていて、上手くいかないときに解決できるようになっています。また、各章で一つだけ実践するとしたらが書かれています。沢山紹介されていると迷ってしまう方に参考になる内容が書かれています。
まとめ
UXデザインは限りあるリソースでベストの解を出していく事が必要です。この本はその手助けをしてくれる本になっています。
質疑応答
どうやってLouisさんとつながった?
もともと別な本を翻訳していて、出版しようとやりとりを進めたところ、編集を紹介され、その担当がLouisさんだったようです。
UXデザインが必要と思っていない人をどう説得する?
あまり難しい言葉を使わない。ボトルネックになっている部分を見つけて、事前に提案する。事例を紹介したりして説得力をつける。
「Yahoo! JAPANのUX Team of One」瀧 知惠美(ヤフー株式会社)
[slideshare id=52160674&doc=yahoojapanuxteamofone-150828045208-lva1-app6891]
Yahoo! JAPANでどのようにUXデザインの実践を推進しているのか、UXの実践とエバンジェリズムのコツを紹介します。
UXデザイナーの瀧さん。黒帯制度があり、デザイン思考の黒帯を持っているそうです。深澤さんと同じくデザイン思考エバンジェリストです。ワークショップや実践サポートなどを社内向けに行われています。
UXデザイン実践のために
2009年からいますが、いろいろとUXデザインを実践していました。広告の業務ツールのデザインを経て、2013年にUXデザインチームが発足し、そこからデザイン思考の推進活動を進めておられています。
UXを普及させるために
一人でもできないことはないが仲間が居た方がいい!ということで、次のような進め方で普及していくと良いそうです。
- UXに興味を持っている人を巻き込む(共感してくれた人だけでも良い)
- UXのメリットをチームメンバーで共有する(UX用語やUX手法は提案せず1から、もしくは使わずに説明する)
- 目指すゴールを常に明確にする(ゴールを見失わない)
UXデザイン推進で気をつけること
UX Team of Oneに以下のような言葉があり、推進するための普及活動を進めているそうです。
UXの推進者はUXの認知を築くことに時間を費やすことが重要
1. 同じ思いを持つ仲間を見つける
- 課題意識+学習意欲+推進活動のやる気+できれば実戦経験
- 役職者ばかりだと動きづらい
2. 地道に続ける
- 検証を繰り返しながら徐々に成果が出るもの
- 勉強会 -> 定期的に集まる機会 -> 相談し合えるコミュニティ
3. 会社の方針と関連付ける
- 会社の方針にどのようにか役立つのか?
- 現場から権力者へ認知を広めていく
必要なマインドとスキル
マインド
1. 好奇心
- 当たり前のことを疑う!なぜ〜するんだろう?疑う視点を持つ。
2. 学習意欲
- 積極的に学ぼう!
3. 柔軟性
- 仕事の幅を柔軟に広げる
- ビジネスも技術も考えなければいけないが、柔軟に広げていく
- 相手の意見を柔軟に受け入れる!
4. 我慢強さ
- なかなかすぐに成果がでるものではない
- 長期的に成果を出していく
スキル
1. 説明力
- バッドシナリオではなくグッドシナリオで進める(否定ではなくポジティブに)
2. ファシリテーション力
- UXデザイナーが主体的にリードする
- 聞いた話を踏まえて提案する
3.説得力
- 一人ひとりが重視していることを意識する
- そこから、UXでできることとメリットを伝える
4.推進力
- 意外なところに興味をもつ人がいる
まとめ
UXは孤独な仕事ではありません。一人からでも初められるが、一人で悩まずどんどん仲間を巻き込んでいこうとする気持ちが大事です。
質疑応答
仲間を巻き込む上で、仲間が居るとできることは何か?
考え方に共感してくれる人を作ることで、抱えている課題に対してUXが必要だと理解してもらうことが大事です。そうすることで、UXデザインの活動を進めやすくなります。
小さい会社の場合は?
小さくても、どんどん巻き込んでいくことで会社全体としてUXデザイン活動を進められるようになるはずです。
UXデザインの費用対効果は何か?
最初に見えるのはプロジェクトの効率化。定量的ではないがプロジェクトはスムーズに進む。まずはこれを理解してもらう。KPIをユーザー視点が変わるとどう行動が変わるかという視点で設定すると数値として現れるはず。
「UXデザイナーとフロントエンドエンジニアの付き合い方」森本 恭平(ヤフー株式会社)
[slideshare id=52160635&doc=uxdesinerengineer-150828044941-lva1-app6892]
フロントエンドエンジニアから見たUXデザイナーや、UXデザイナーへ求めていること、そして、良い組み方について紹介します。
フロントエンジニアの森本さんです。HTML、CSS、JSの実装を業務にされています。
一人のフロントエンジニアから見て
UIデザイナー≠UXデザイナー
UXデザイナーはUIデザイナーではありません。UXデザイナーはユーザーの価値を提供する人で、UIデザイナーは、優れたUIを作る人です。しかし、他の人から見ると同じデザイナーに見えてしまいまいがちです。自分の役割やできることをチームに伝えることが大事です。
プロトタイピング≠ワイヤーフレーム
アウトプットが似ていますが、ここでも、自分の役割やできることをチームに伝えることが大事です。
UXデザイナーに期待していること
「ユーザー」というカードを持って、ステークホルダーを倒すこと!
UX Team of Oneからの脱却
- UXデザイナーは何をしているかわからない、いちいちうるさい、フセン張ってる人というイメージが出てしまいます。伝える努力をして欲しい
- 模造紙と付箋じゃ伝わならないので、資料にして欲しい
- 専門用語は使いすぎると辛いので、ちゃんと伝わるコミュニケーションをとっとほしい
- 短絡的な価値を見がちだが、未来や長期的な視点を見せて欲しい
最初で頑張り過ぎない
- 後半に全く見ず、最後がUXブレブレになってしまう
- いま作っているものが正しいか、常にチームに問いただして欲しい
- 仕様変更、機能追加が価値があるか検証して欲しい
- どうすればいまのリソースで同じ価値が提供できるのかアドバイスが欲しい
一緒にプロトタイピングする
- 精度の高いプロトタイピングは技術力が必要
- 技術的な要素はチームメンバーで補う
- どういうことに注意して欲しいか、かなり直接的に伝えることができる
- UXデザイナーの苦労が分かる
まとめ
- UXデザイナーとして行動して欲しい
- ユーザーだけではなくチームメンバーに目を向けて欲しい
- 「巻き込む」から「納得して行動してもらう」
質疑応答
UXデザインとUIデザインは同じ人がやるべきではない?
リソースがあるのであれば混同しないほうが良い。
IAやUXをウリにしていないような企業を説得するには?
どれが価値なのか落とし込み、貼りだしておく。地味にやっていくしか無いので、どんどん伝えるべき。
ステークホルダーは倒すのではなく巻き込む相手!
クライアントもチームメンバーの一人。離れているメンバーとどうコミュニケーションを取るべきかも書かれているので、巻き込んでいければ良い。
まとめ
UXデザインの活動を理解してもらえなかったり、自分が所属している組織でUXデザインの観点から思考できていないと感じているかたは、まずはぜひ読んでみたほうが良いと思いました。そして、少しでも活動を進めていくと、意外と近くに共感してくれる人がいるかもしれません。
短期では成果がなかなか現れないかもしれませんが、諦めずに続けていくことで、組織の中でパワーを持つ存在になってくるはずです。
ということで、私も明日から社内で推進していこうと思います!
誤りなどありましたらコメント欄にてご指摘いただければ幸いです。